茨城県那珂市にある、主に糖尿病や動脈硬化など、生活習慣に関わる内科クリニック(医院)です。

医療法人健清会

2010年5月27日~2010年5月29日

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糖尿病専門施設への期待と現状Ⅰ-新患の受診背景の検討-

及川弥生、道口佐多子、米川由香、小野陽子、斎藤三代子、遅野井健

目的

糖尿病患者における糖尿病専門施設への期待と役割を検討する。

対象・方法

糖尿病初診患者343例での受診の経緯や背景、臨床所見の検討。

結果

初診患者の背景は、他施設からの転院(転院群)184例、未治療者159例(診断後治療中断:診断後治療中断群33例、未診断:未診断群126例)であった。合併症は転院群と診断後中断群で多かった。転院群での転院理由は本人希望(希望群)と主治医紹介はほぼ同数であった。希望群では「治療方針の相違」、「情報を得たい」「十分な生活指導」とした転院が多く、未診断群では検診等が契機の受診が多く、その46.5%が勧奨後1年以上を経ていた。専門施設へは未診断群では精査、既診断例では最適な治療の選択の期待が多かった。

結語

患者背景で若干異なるものの、多くは適切な治療法の選択と情報や指導を求めて専門施設を受診していた。

糖尿病専門施設への期待と現状Ⅱ -治療中断者の検討-

米川由香、道口佐多子、及川弥生、佐藤千代子、椎名紀恵、斎藤三代子、遅野井健

目的

治療中断の契機や治療中断に至る患者像の検討。

対象・方法

受診後1年間に中断した新患67例に対し受診の目的、専門施設への期待、合併症の状況を受診の背景毎(転院群、診断後中断群、未診断群)に検討した。

結果

初診患者の19.5%が初診後1年以内に治療中断し、その約70%が6ヵ月以内に中断していた。治療歴のない患者よりも他院からの転院例の中断率が低かった。完全治癒精査期待の例での中断率が生活指導期待の例に比して高かった。糖尿病の診断を受けていない例では完全治癒の期待が高かった。転居を目的とした例での中断は多かった。中断例では網膜症、大血管障害、IMT肥厚頻度が低かった。

考察

治療開始後早期の中断例が多く、中断の心理としては受診の目的達成や失望が大きく、合併症は治療継続を支える因子であり、新患の中断防止にはこれへの配慮が必要と考えられた。

療養指導におけるコミュニケーションスキルの評価 -コーチング技法の効果-

那珂記念クリニック 道口佐多子、野津浩嗣、鯉渕忠敬、鈴木啓子、斎藤三代子、遅野井健
(有)AEメディカル 野津浩嗣

目的

コーチング技法導入による指導スキル向上の可能性を検討する。

対象・方法

患者と指導者へのアンケートで指導スキルを評価し、改善点を勘案し、コーチング技法の講習を実施後に、患者と指導者へ療養指導のスキルを評価した。

結果

講習前で承認、信頼感、気持ちの理解、が患者評価が低かった。指導者は専門用語の使用、自信、開かれた質問、信頼が改善項目で、承認は高く評価していた。以上を基にコーチング技法の講習を実施した。結果、承認を積極的に行い不安を理解し開かれた質問が増加し、指導に自信が持てるようになったと評価していた。患者の評価項目では、講習実施前後で大きな変化を認めなかったが、行動変容の契機の項目が高くなり、指導した行動目標と患者の行動目標の一致度が改善した。

結語

指導スキルにコーチング技法の取り入れは指導効果を改善するものと考えられた。

初診時コントロール不良糖尿病患者における長期臨床経過の検討

斎藤三代子、遅野井健

目的

血糖コントロール不良新患の臨床経過を評価。

対象・方法

HbA1c≧10%の2型糖尿病新患144例(55.9±12.4歳、HbA1c 11.5±1.4%)を検討。

結果

6、24、60ヵ月後にはHbA1cは7.1±1.6%、6.9±1.3%、7.1±1.5%と改善。6ヵ月後、60ヵ月後とも「不十分」の長期不良群のSU薬とインスリンの頻度80%は、60ヵ月後に 「良」となった中途改善群の55.6%より高かった。長期不良群のBMIは12、24ヵ月後から増加し、60ヵ月後には中途改善群より高かった。合併症は長期不良群での増悪が多く、6ヵ月後から「良」の群では非インスリン分泌系薬剤使用が多くBMIは低かった。

結語

コントロール不良新患の36.9%が「良」に改善したが「不良」も23.6%であり、薬物介入では体重への配慮が重要と考えられた。