茨城県那珂市にある、主に糖尿病や動脈硬化など、生活習慣に関わる内科クリニック(医院)です。

医療法人健清会

2007年5月24日~2007年5月26日

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当院における合併症の実態について -糖尿病性神経障害を中心として-

大和田直樹、斎藤三代子、高柳尚子、遅野井健、
道口佐多子、塩澤奈々、椎名紀恵、鹿志村まゆみ

目的

当院における糖尿病性合併症の実態を糖尿病性神経障害を中心に把握する。

対象・方法

当院通院中の患者1673名(男性1072名、女性601名、平均年齢60.3歳)を対象とし、神経障害の自覚症状中心のアンケート、アキレス腱反射およびC128音叉での振動覚検査を施行した。

結果

神経障害は34.6%、網膜症は43.6%、腎症は19.1%に認めた。神経障害に関連する下肢の症状は267名に認め、こむら返り、しびれ、のぼせ冷感、足裏に紙がはる、感覚鈍麻、痛みの順であった。アキレス腱反射は47.8%、振動覚は17.5%に異常を認めた。

考察

神経障害や腎症は同様の他の検討とほぼ同等であったが、網膜症(軽症)の頻度が高く、定期的な眼底検査の徹底が寄与しているものと思われた。また、神経障害は自覚症状を認めない神経機能検査による診断が多かった。

α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)の処方実態と処方中止理由の検討
-CoDiCを用いて-

鯉淵忠敬、道口佐多子、斎藤三代子、高柳尚子、
大和田直樹、遅野井健

目的

当院でのα-GI処方実態を調査検討したので報告する。

方法

H16年11月現在でα-GIが継続処方されている1319名(対象1)と同時期にα-GIの処方が開始された患者247名(対象2)を対象として、1年以上の処方経過を検討した。

結果

処方中止患者は対象1で124名(9.4%)、対象2で79名(32%)であり、何れも治療中断や転院によるものが多く、有害事象によるものはそれぞれ21名(16.9%:肝機能異常4名、消化器症状5名)、15名(19%:肝機能異常12名、消化器症状1名)であった。肝機能異常のうち薬物との関連が否定できなかったのは対象2の3名のみであった。

結語

有害事象でのα-GI処方中止例が少なかったのは、肝機能異常例の多くで原因疾患が確認されたことや、消化器症状を主作用と捕らえた服薬指導によって、消化器症状での中止例が少なかったためと思われた。

初診時血糖コントロール不良な2型糖尿病患者の
臨床経過に関する検討(CoDiCを用いて)

高柳 尚子、 斎藤 三代子、 遅野井 健

目的

血糖コントロール不良な2型糖尿病(DM)患者の臨床経過を検討

方法

初診時HbA1c≧10%の2型DM患者188名を対象に2年間経過観察

成績

全体のHbA1cは6ヶ月後まで急速に改善し、2年後にはHbA1c6.5%未満が40.4%、8.0%以上が21.8%であった。既治療患者62名の使用薬剤はSU剤が多く(62.9%)、未治療患者へはα-GI単剤での開始が多かった(平均4.4±4.1ヶ月後に開始)。インスリンは3ヶ月後まで急速に増加し、最終的にはインスリン50.0%、SU剤6.9%、他の経口剤39.9%であった。 2年後のHbA1c良好群は、不良群に比べ高齢で罹病期間が短く、未治療例が多かった。

結論

インスリン導入は約3ヶ月で終了し、内服薬はインスリン非分泌型からが多かった。初診時血糖コントロール不良な既治療患者ではインスリン導入の可能性が高く、比較的若年で罹病期間が長い例が最終的なコントロール不良群に多く問題である。

透析患者のフットケアの現状

加藤幸寿恵、道口佐多子、佐藤千代子、小野陽子、
塩澤奈々、椎名紀恵、鹿志村まゆみ、斎藤三代子、
高橋康之、遅野井健

目的

透析患者の足病変の実態と意識調査と透析施設のフットケアの現状を調査した。

方法

(1)透析中の患者57例(DM34、非DM23)に足への意識調査と病変の有無やアキレス腱反射、振動覚閾値、圧触覚閾値を行った。
(2)茨城県内の17透析施設へフットケアの指導の現状(対象・方法・頻度)のアンケート調査を行った。

結果

(1)切断者3例、壊疽1例、潰瘍2例だった。下肢への関心は「毎日見る」49.1%、「症状ある時見る」17.5%であった。足病変は68.4%(皮膚の角化36.8%、白癬15.8%)、爪病変66.6%(爪白癬47.4%、変形26.3%)に認められた。
(2)透析患者のフットケアの指導は神経障害者73.3%、視力障害者40.0%、足病変既往者60.0%、訴え時80.0%と特定の患者に行うことが多かった。

考察

透析患者のフットケアは、観察中心で足病変を減少させるために予防を意識した具体的な指導が望まれる。

HbA1cおよびGAの影響因子に関する検討
-CoDiCを用いて-

塩澤奈々、鹿志村まゆみ、椎名紀恵、道口佐多子、
斎藤三代子、大和田直樹、遅野井健

目的

多数例におけるHbA1cとGAの臨床的意義の検討。

対象・方法

HbA1cとGAを同時測定した2293例(男/女:1454/839、1型/2型:90/2203)を対象とした。併発症や血糖変動の影響を制限した249例を用いて、実測のHbA1cからGAを求める回帰式を算出し、実測のGAとの乖離について検討した。

結果

回帰式はGA=3.051134×A1c-0.01587(r=0.6962)で、平均乖離率は10.41±9.61%であった。貧血、低蛋白、腎障害では正の乖離例、脂肪肝では負の乖離例が多かった。平均±1SD(±20%)以上の乖離例は、正の乖離が237例(1型19例:21.1%、2型218例:9.9%)で、負の乖離47例(2.0%)に比して多かった。インスリン使用例(特に1型)で乖離率が高く、正の乖離例が多かった。

結語

GAはHbA1cより鋭敏に血糖変動を反映し、GA/HbA1c>3では食後高血糖の影響が大きい可能性がある。

ミグリトールによる2型糖尿病患者の1日の血糖推移の是正
-超速効型または持効型インスリン製剤併用例での検討-

(医)健清会 那珂記念クリニック 遅野井健
順天堂大学医学部内科 河盛隆造

目的

2型糖尿病患者において、ミグリトール(M)による1日の血糖推移を検討するため、プラセボ(P)を対照としたクロスオーバー試験を実施した。

方法

超速効型インスリン製剤または持効型インスリン製剤で治療中の2型糖尿病患者31例に、M(50mg/回)またはPを1日3回毎食直前に投与し、朝食開始から1時間毎に15時間後まで血糖値を測定した。

成績

Mは、いずれのタイプのインスリン製剤治療患者においても、毎食後の血糖上昇を遅らせて血糖AUCを低下させる一方、次の食前血糖を下げすぎないことと相まって血糖変動を平準化することが示された。また、死亡、その他の重篤な有害事象は認められなかった。

結論

Mは、インスリン製剤との併用時においても1日を通じた毎食後の高血糖を改善し、食事前後の血糖変動を平準化することが確認され、インスリン製剤との併用療法に対するMの有用性が示唆された。